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認知症を支える〜2

認知症のご家族を持つ場合、介護に関して、とても大変なことが多いと思います。

火を消し忘れたり、隣家のチャイムを鳴らし続けたり、排泄をトイレでせず、ゴミ箱やスリッパの上でしてしまったりすることがあります。

また、食事をしたことも忘れたり、薬の管理のできなかったりします。

そのため、認知症の方を介護する場合は、仕事を辞めなければならなかったり、1日中一緒にいて対応しなければならないことが多いと思います。

施設に預けることは、決して親の介護を放棄することではありません。

専門の知識と豊富な経験を持つ介護スタッフに見てもらえることで、施設利用者さんにとっても穏やかな日々を過ごすことができます。

特に、以前しっかりしていた親であった場合、どうしてこんなことができないのか、きちんと話を聞いていないのか、厳しく言えばできるだろうと考えがちです。

認知症は病気だということを認識しましょう。

そして、認知症になりたくてなった人は一人もいません。

ですから、第3者が冷静に介護することが、患者さんと家族のお互いの幸せに繋がることも、とても多いのです。

今はコロナ禍で、施設に入居すると、会えない日々となりますが、コロナ騒ぎが落ち着けば、定期的に会うこともできますし、余裕を持って接することもできます。

大事なことは、患者さんが、精神的に安定していることであり、そのためには怒ったり、文句を言ったり、できないことを叱ったりすることは厳禁です。

患者さんは、覚えていたくても覚えていられないし、やりたくてもできないし、不安な気持ちでいっぱいなのです。

認知症の人でなくても、もしうまくできなかった時に、周りから

何でこんな事ができないの?

おかしいんじゃないの!

ふざけてないでしっかりやって!

今言ったばかりなのに何で忘れるの?

いい加減にしてちょうだい!

と言われれば、パニックになりますし、精神的にうつ状態にもなります。

この精神的な不安定さが、認知症を急速に進行させる原因だと考えられます。

まず、認知症の基本的な事をお話しします

《認知症の症状》

1. 中核症状(認知機能の障害)

  • 記憶・学習障害、
  • 判断力低下、
  • 見当識障害、
  • 失語、失行、失認

2. 周辺症状(認知症の行動・心理症状):BPSD

  • 不安、
  • 幻覚、
  • 妄想、
  • 抑うつ、
  • 不眠、
  • 攻撃、
  • 徘徊、
  • 不穏、
  • 性的脱抑制、
  • 大声で叫ぶ、
  • 無気力、
  • 繰り返す質問、
  • つきまとい、
  • 頻繁なトイレ通い

上記の中核症状は、残念ながら現状は治癒することはなく、徐々に、または急激に進行していきます。

しかし、BPSDと呼ばれる周辺症状は、ケアや介護、治療によって改善することができます。

そして、この周辺症状を改善することにより、認知症の中核症状の進行を遅らせることができるのです。

逆に、BPSD(周辺症状)が増悪すれば、認知症は急速に進行することになるでしょう。

では、具体的にどうしたら良いのでしょうか?

《BPSDを改善するために、家族や介護者はどう接するべきか》

学術的な医学的な解析方法はありますし、大切ですが、介護をするのは専門的な知識が豊富な人ではなく、その家族が中心となっています。

ですから、基本的な考え方、接し方が重要であると考えます

では、なぜ患者さんは同じことを繰り返すのか?

怒り出すのか?

同じことを繰り返すのは、すぐ忘れてしまうからです。

当たり前の様ですが、これさえ理解していれば、「どうして何回も同じことを言うの!」「どうして今言ったばかりの事ができないの!」「どうして食べたばかりなのに、ご飯まだと言うの!」という言葉は出てきませんね。

また、怒り出す原因は色々あると思いますが、基本的には自分の思った通りにできなかったり、出来なかった事を理論的に責められたり、自分の話を聞いてくれていないと感じるからです。

私たちも、一生懸命やったのにうまくできなかったことを責められたり、

理路整然と自分がダメな部分をこんこんと言われ続けたりすれば、

怒るしかなくなります。

また、自分が真剣に話をしているのに(自分では初めて話していると思っています)、「あ〜もうその話は100回聞いた」とか、「も〜うるさいわね」とか、「寝てない寝てない言ってるけど、ぐっすり寝てるから」とか言われると、

やはり怒り出しますね。

また機械的に、義務感を丸出しで接することは、実は認知症の患者さんは敏感に感じるため、怒り出します。

しかし、では毎回誠意を持って真正面で接すれば、介護者はとてつもなく疲弊してしまいます。

一番大事なことは、笑顔です。とにかく笑顔で接することです。

話は半分聞き流したとしても、笑顔で接することが何より大事です。

そして、相槌を打ちましょう。「1たす1は5だよ」と言われたら、「そうだね、その通りだね。今度また教えてね」と言って決して否定しないことです

患者さんは、フザケているわけでもなく、嘘をついてるわけでもなく、認知症という病気のために、本心からそう思っているのです。

ですから、決して否定してはいけません。否定すれば、自分自身を否定されている気持ちになり、興奮し、怒り出し、暴行や拒否が生まれ、精神的に不安定となり、結果、認知症が急激に進行します。

例え、娘や息子であるあなたの事を忘れて、「初めまして、あなただれですか?」と言われても「何言ってるの!ふざけてるの!40年も一緒に暮らしているのに」なんて言わずに、「初めまして、お元気ですか?顔色も良くてお若く見えますね」などと笑顔でお話ししてください。

すると、「あなたいい人ね、また来てちょうだい」と喜ばれます。

認知症は脳が変性していく病気です。

脳梗塞の後遺症で、話せなくなる方、動けなくなる方、寝たきりになる方がいることは理解できますね。

同じ様に、認知症が進行すれば、今まで認知できたことが全く認知できなくなり、食べ物を見ても食べ物と理解できず、食べるという行為も分からなくなります。

家族としては患者さんに特別な思いを持つのは当然です。

あんなに素敵なお母さんが、自慢のお父さんが、

・・・もっとしっかりして欲しい。

どうして私の言う事がわかってもらえないの。

でも、一番辛いのは患者さんご本人だと認識しましょう。

患者さんは、穏やかな時間を過ごすことができれば幸せを感じます。

歌を歌ったり、家族や介護の方、施設の方とお話しすれば、楽しいと感じます。

好き嫌いは激しくなりますが、美味しいものを食べれば、美味しいと感じます。

大切な方のために、穏やかな笑顔で接していきましょう。

そして、自分だけで頑張らず、公的補助や介護サービス、施設入居などをしっかり利用して、家族みんなが幸せを感じられる様に頑張っていきましょう。

また、続き等で、薬をめちゃくちゃに飲んでしまう、不眠や妄想などがあるといったことについて、話していきたいと思いますのでよろしくお願いします。